■アーティストトーク-
  朝日紀行
ASAHI Noriyuki
 
朝日紀行はバイオリンの現代音楽家としても有名である

朝日紀行は公募の要請に応えて、札幌から勇んでやってきた。
トンネルの片側の壁面を絵の下塗りとして白く塗ろうかという申し入れを見るなり断ってきた。その理由は、「これほどの低いトンネルはかつて見たことがない。脚立なしで天井も塗れる。トンネル全体を曲がったキャンバスとして使わせてもらう。」というものだった。しばらく、トンネルを観察していて、「分かった」と言って即座に白い水性の塗料を手に入れてきて創作にかかった。
朝日紀行の独立後の作品は白いキャンバスに白い油性絵の具で塗ってしまう作品ばかりだった。手の返し、筆の竹などの塗る時の材料によって、マチーユ(テクスチュア)が違ってくるという作品だった。ある時代から少し色を使うようになったが、数年後、永い時間かけて塗った色の上にやはり白い絵の具を重ねて塗るという作品となった。その時朝日は、「色の上に塗る白と白いキャンバスの上に塗る白は違う。」と言っていた。最近は、キャンバスの上に丸い範囲に色のパターンを塗るようになった。その理由は、「端まで塗ると角が塗りにくい。」だった。
白い色とキャンバス、そしてどこに塗るかという一貫した彼の作品の流れがこのトンネルの作品に見て取れる。
「既にあるいたずら書きと会話しながらパターンを書き込んだ。来年は私のパターンと会話しながら誰かがまた上から塗り重ねるという場にしたらどうか。」とオープニングで語った。
 
   
 

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