■イベントレポート- 9月30日(金)
  「かわさき現代彫刻展」オープニングセレモニーat アウマンの家
 
長坂区長、君嶋元区長に解説する作家の柴田
「かわさき現代彫刻展」は9月26日(月)からオープンしていたが、オープンを記念したセレモニーが30日の5時からアウマンの家を含む前庭の芝生全体を会場にして行われた。そこには、阿部川崎市長、長坂川崎区長、町内会長、今回参加している彫刻家たちを含め大勢が集った。
 
市長の挨拶
会は敷地を提供していただいているJFE都市開発の藤森センター長の進行役により、各々の挨拶、彫刻家による作品の説明、そして、「どこでも誰でもコンサート」のメンバーである四重奏の演奏が行われ、その音楽に合わせ、現代ダンサー小幡あえ架が踊った。
 
「いつでも誰でもコンサート」の四重奏の面々
昨年は、会場をTHINK(テクノハブイノベーションかわさき)内のアウマンの家と京浜ビル周辺に会場が限定されていたが、今年はJFEバス停横の元火の見やぐらのあった敷地や、廃虚ビル、トンネル、川崎ファクトリー、北條鉄工など、周辺のまちの中へ展示が進出している。中でも写真中に黄色い光るテープが貼られているが、山本耕一郎の展示は、周辺地域の電柱やフェンスの支柱、壁、トンネルと展開し、大きなエリアをひとつの会場として認識させる装置として機能させている。
 
ダンサー小幡あえ架
参加者も増え、オープン後に札幌から参加した朝日紀行を含めると11組の芸術家が参加しており、中でもグループ・RA・かわさきは3人の作家と13人の臨港中学校の美術部の学生、19人の大島絵画教室、14人の東三輪幼稚園児、1人の渡田保育園児が参加しており、また作家たちを支えている人たちも含めると優に50人以上が制作に参加していたと言えるだろう。
 
殺陣(タテ)役者の面々
イベントがまたたく間に拡大していくのは実は珍しくはない。横浜のバンクアート、トリエンナーレ、東京のデザイナーズブロック、年々参加者も見学者の数も拡大している。デザイナーズブロックにいたっては、参加者の数が数百人に達し、見学者もすでに全てを見学するのは不可能となったと同時に、今年から中止された。
「かわさき現代彫刻展」も同様な結末へ向かうのであろうか。
 
あたりも暗くなり、幻想的な会場で話し込む彫刻家吉本夫妻
昨年は、アウマンの家で「カフェアウマン」が側で設計事務所を営む渡辺治建築都市設計事務所と芸術家山本耕一郎らが中心となり運営され、音楽家、役者、歌手、住職など多才な顔ぶれが公演を行い多くの来訪者を集めた。その結果、そこで知り合った同士が、今度は「川崎ファクトリー」(設計事務所の1階のスペース)で彫刻展が閉会した後に2回の複合多分野交流的公演が行われた。
 
グループ・RA・かわさきの佐治に熱く語る建畠
多くのイベントは終わってしまうと何も残さない。
しかし、「かわさき現代彫刻展」はこういった芸術家同士の結びつきを残し、まったく新しい作品としての公演へとつながった。今年は、アウマンの家の横の労組会館では林海象監督が映画撮りを行っており、また会期内に廃校になった元県立南高校で世界的な劇団による公演も予定されている。こういった多分野の芸術家が彫刻展の会期内に活動し、知り合い、そしてどこにもない作品がこの地域の中で創られ、地域の文化として残されていく。これが「かわさき現代彫刻展」のあるべき姿だと思うのである。

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